二番はいない6

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Dhamma Articles > クンヤーイの生涯
[ 2008年11月01日 ] - [ 閲覧回数 : 18260 ]
 
『二番はいない』

クンヤーイ(お婆さん) ウバーシカー(優婆夷)

チャン コンノックユーン

の生涯

6. 瞑想の境地への歩み
 

 

 

  
高弟専用の特別瞑想場での瞑想修行を、許されたチャンは、瞑想熟練者の先輩たちに、一日でも早く追い着けるようにと、あらゆる努力を行いました。
  
 瞑想中だけではなく、日々の日常生活においても、立っていても、座っていても、歩いていても、何をしていても、常に心を、幾層にも重なっている内なる体の中心に、留め静止させることを、ひと時も怠らずに励み続けました。
  
その努力の結果、心がさらに清らかになっていき、空一面に昼間の太陽を敷き詰めた明るさに勝るほど、心が輝きを増しました。ある日ルァンプーは、最初の試験として、チャンに一つの質問をしました。「チャンよ、今本堂を通り掛ったら、屋根の上に一羽の鳥が止まっていた。この鳥が後ろを振り返ると、また、正面に首を戻した。どうして、このような行動をしたのか、分かるか。」
 
チャンは、これを聞いて、自分の心を中心の奥深くまで、留め続けて完全に静止させると、その答えが自然と出てきました。「後ろを振り返ったのは、飛んできた道を覚えておくためで、正面を向いたのは、食べ物を探すための道を選んでいるからです」と答えました。
 
それを聞いたルァンプーは、「よく出来た」と短い言葉で、正解であることを認めました。次の日、ルァンプーは、また、次の質問を投げ掛けました。
  
「チャンよ、さっき食堂から出てくると、足のない乞食が座っているのが見えた。その乞食の内なる身体の足も、同じようにないのか。調べてみてくれ」
  
 チャンは、前回と同じ方法で答えを見つけ、ルァンプーに伝えると、正解で「よく出来た」、という褒め言葉が返ってきました。ルァンプーのこのような試験は、その回答が間違っていれば、ルァンプーは、ただ無言で黙っているのが常でした。
  
 チャンに対するルァンプーの質問は、何度も繰り返し行われ、叙々に難解なものになって行きました。チャンが聞いたこともない人々の、信仰している神々の存在などを、次から次へと、尋ねてきました。チャンの法身の知見は、あらゆる質問に、正確に答え続けました。ルァンプーが、チャンに常に尋ねたことは、日常生活において、いつも心を中心に留めているか、ということでした。
 
 このため、常に心を中心に留める大事さを痛感したチャンは、昼夜ひと時も欠かさず、これに努めました。中心に留めれば留めるほど、深く入っていき、更なる新しい知識を得ることが出来ました。
 
 その後ルァンプーから、ある特別の台座に、座ることに選ばれました。その特別の台座とは、「外界を遮断できる台座」と呼ばれ、瞑想の最高の熟練者のみが、座れるものです。この台座は、人一人がやっと座れるほどの小さなもので、夜は、座っている状態が少しでも傾くと、蚊帳に触れ蚊に刺されてしまうので、常にチャンは、背筋を真っ直ぐ伸ばし座っていました。
 

そのため、その後のチャンの瞑想の姿勢は、いつも背筋が伸びた、端麗な姿になったのです。「外界を遮断できる」というのは、完全に心を留め静止させた場合に生じることで、外界からのあらゆる情報から遮断され、心が内なる体の中心の奥深くに、次から次へと、深く潜入していく状態を言います。

 

こうする内に、心が更に清らかになり、心の力も増して行き、知見も益々正確になっていきます。チャンは、ただひたすらに努力を続ける人で、何も知らない初心者の立場から、大勢いる瞑想熟練者を追い抜き、ついには、高度瞑想者のリーダーに選抜されました。

 
このリーダーは、ルァンプーの真の信頼を勝ち得た人だけが選抜され、その地位はすこぶる高く、自己の訓練と、法身の学びが傑出して出来る人だけのものです。
 
こうして瞬く間に、リァップ婦人との約束期限の、一ヶ月がやってきました。チャンは、「もう帰りたくない」と自分の本心を正直に、トーンスック先生に打ち明けました。すると、先生は「私もまだ剃髪していないから、一緒に出家をしようか」とチャンに賛同し、出家を誘いました。チャンに異存がある訳もなく、早速準備に取り掛かりました。
 
しかし、出家するための白い法衣を、用意するためのお金もなかったのですが、何とか駆けずり回って、白い法衣を貸してもらうことができました。そして、その夜には、二人は剃髪をして、白い法衣を纏い出家をしました。 

ルァンプーは、二人の姿を見て、仏教の新しい僧兵の誕生だ、と大変喜びました。

 
翌朝、リァップ婦人が、約束通りチャンを迎えに、ワット・パークナーム寺院を訪れました。そこで、婦人が見たものは、髪を剃り下ろしたばかりの、二人の女性出家者の姿でした。二人はルァンプーの隣に座り、まるで、体内から輝く光を放っているような、神々しい姿でした。
 
婦人は、ルァンプーに遠慮し、声をかけるのを躊躇っていましたが、ルァンプーが席を外したのを幸いに、チャンに向かい「どうして、出家したの」と声をかけました、チャンは、ただ沈黙を守り、黙っているだけでした。リァップ婦人とチャンの心の絆は深く、これから20年後、婦人が85歳になったその年に、再度、同じ質問をしました。「どうして、あのとき、約束通り、戻ってきてくれなかったの」。
 
婦人は、亡くなる直前にもチャンを自宅に招き、布施を行いましたが、このときにも、チャンに同じ質問を繰り返しました。このように婦人は、チャンの気質を熟知し、これに大変関心しており、生涯、チャンを待ち続けていたのです。
 
チャンは生活のために、リァップ婦人の邸宅で奉公していたわけではなく、父に会うため、法身を学ぶため、生来の真面目さからきた勤勉さを発揮し、身を粉にし、陰日向なく奉公していたのです。この結果、ルァンプーに弟子入りすることが出来、法身の素晴らしさを更に実感し、世俗に戻る気持ちには全くなることはありませんでした。

 

 

 


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